足利事件DNA再鑑定へ

2008年12月24日

毎日新聞より

足利の女児殺害:DNA再鑑定、高裁決定へ 


弁護団、支援者らに喜び /栃木


 ◇「菅家さんにXマス贈り物」
 「100%満足できる協議だった」。足利市で90年5月、保育園女児(当時4歳)を殺害したとして殺人罪などで元幼稚園バス運転手、菅家(すがや)利和受刑者(62)の無期懲役が確定した足利事件。菅家受刑者が再審を請求して即時抗告していたが、東京高裁は19日、検察官と弁護士が出席する3者協議で、DNA型を再鑑定することを命じる決定を、近く正式に出すことを明らかにした。再鑑定を一貫して求めてきた弁護団や支援者は、口々に喜びを語った。【吉村周平】

 弁護団は協議終了後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見。佐藤博史・主任弁護士は「菅家さんにとって文字通りクリスマスプレゼントになりそうだ」と笑顔で語った。佐藤弁護士が千葉刑務所で面会した際、菅家受刑者は「無罪なのだから一日も早く出たい」と話したという。

 宇都宮地裁は今年2月、弁護側が独自に行ったDNA鑑定を「資料となった毛髪が請求人(菅家受刑者)由来のものとする裏付けがなく、証拠価値は乏しい」などとして再審請求を棄却した。

 しかし、即時抗告審では東京高検が10月に「裁判所が実施するというなら、(DNA再鑑定に)反対しない」との意見書を提出したことで、再鑑定が実施される公算が大きくなっていた。

 弁護団によると、東京高裁の田中康郎裁判長は今回の3者協議で「可能な限りの手法を用いてDNA型を鑑定することを命ずる」という趣旨の発言を行った。佐藤弁護士が25日に菅家受刑者に面会に行く予定を告げると、田中裁判長は24日まで正式決定を出すことを明らかにしたという。

 会見に出席した「菅家さんを支える会・栃木」代表の西巻糸子さん(58)は「とにかくすごくうれしい。無罪を勝ち取るまでには、時間がかかるかもしれないが『頑張って』と菅家さんに伝えたい」と話していた。

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 ■ことば

 ◇足利事件
 足利市で90年5月、保育園児の松田真実ちゃん(当時4歳)が行方不明になり翌日、渡良瀬川岸で遺体で見つかった。91年12月に元幼稚園バス運転手の菅家利和受刑者が逮捕され、93年7月の宇都宮地裁の無期懲役判決が、00年の上告棄却で確定した。足利市では79年8月と84年11月、共に当時5歳の女児が行方不明になり遺体で見つかる事件があり、菅家受刑者が関与を認める供述をしたとされたが、宇都宮地検は93年2月、「物証が得られなかった」と不起訴にした。

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 ■足利事件の経過■

90年 5月 松田真実ちゃんの遺体発見

91年12月 菅家受刑者を逮捕、起訴

92年 2月 初公判で起訴事実を認める

   12月 第6回公判で起訴事実を一転否認

93年 1月 第7回公判で起訴事実を再び認める

    3月 検察側が無期懲役を求刑

       弁護側がDNA鑑定に証拠能力がないと無罪主張

    6月 第10回公判で再び起訴事実を否認。結審

    7月 宇都宮地裁が無期懲役判決。控訴

96年 5月 東京高裁が控訴棄却。上告

00年 7月 最高裁が上告棄却。無期懲役確定

02年12月 日弁連が再審支援を決定

       菅家受刑者が宇都宮地裁に再審請求

08年 2月 宇都宮地裁が再審請求を棄却

       弁護団が即時抗告

   10月 東京高検がDNAの再鑑定に反対しないとの意見書を提出

毎日新聞 2008年12月20日 地方版



タグ :足利事件


Posted by つむぐ at 18:00│Comments(0)
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