「論壇」より

2009年04月14日



負担強いる米軍再編
安保を廃棄し友好条約を

                           仲松 庸全(81歳)


『まるで対の猛獣が羊を襲い、骨までしゃぶろうとする光景である。対とは異常な対米従属の日米軍事同盟のことであり、光景とは沖縄における米軍再編=同盟再編の強行の実態のこと。
 東村高江集落を包囲する六つのヘリパッド建設に平和と安全を守って座り込み、反対の意思表示をする区民を“妨害者”として政府は排除の仮処分を請求している。
 流弾の降る金武町伊芸区の被弾事件に耐えかねて決起した区民の抗議と訓練中止の要求を米軍は「証拠がない」と拒否し、射撃訓練を続行している。誰がみても事は明々白々だが政府は訓練の中止や射撃場撤去へ手を打とうとはせず、抗議もしない。
 嘉手納基地では頻繁に最新鋭戦闘機が「一時的」を口実に飛来し、航空自衛隊との共同訓練や未明の飛行など爆音の激化が周辺住民に千辛万苦を押し付けて顧みない。厳重抗議にも“どこ吹く風”という態度である。近隣諸国を刺激するパトリオット(PAC3)を配備し、これとつながる航空自衛隊のレーダーを与座岳(糸満市)に建設している。
 政府は名護市辺野古の新基地建設を強行するため5400頁の膨大な環境影響評価(アセスメント)準備書を県。名護市、宜野座村に提出したが、問題だらけであり、「環境への影響は少ない」と結論するとんだ代物であることが明らかになっている。この最新鋭基地の建設が進まなければ海兵隊のグアム移転も進まないという米軍のパッケージ論をうのみにした政府の強行策だ。グアム基地建設費、移転費に莫大な日本の税金を注ぐという屈辱的協定、移転跡にはほかの部隊がくる予測など問題もある。
 去る3日、石垣港に米軍艦2隻が強引に入港した。大浜長照石垣市長の再三の抗議、入港反対を無視したものである。政府も国の専権事項だとして市長の要求を退けた。しかし専権をいうならその専権を国民・住民を守るためにこそ行使すべきが政府の立場ではないのか。
 枚挙にいとまがないが、これが憲法9条を持つ国の一県・沖縄での米軍再編=同盟再編の最近の特徴である。中南米や東南アジアなど世界では地域共同体づくりが進み、平和と民主主義の流れが大きく成長しつつある。沖縄は捨て石の政治的位置から解放されなくてはならない。国は憲法の上にあぐらをかいている安保条約を廃棄し対米従属をやめるべきだ。安保廃棄・日米友好条約締結こそが平和を呼ぶ。』
沖縄タイムス(4/11)「論壇」より転載



 意見の違いはあるけれど、沖縄がおかれている現状がよく表されていると思います。
 ガイドブックや観光・旅行業者が、あるいは有名タレントがあおる「切り売りされた沖縄」だけではなく、今も戦争と直結している現実の沖縄を直視していきましょう。

タグ :沖縄


Posted by つむぐ at 12:30│Comments(0)
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